
冬の寒さ対策や夏の暑さ対策として、内窓(二重窓)リフォームへの関心が高まっています。光熱費の節約にもつながると聞けば、導入を検討している人も多いでしょう。ただ、インターネットで調べると「内窓 デメリット」といった言葉も目に入り、「本当に導入して大丈夫か」と決断をためらってしまうかもしれません。
この記事では、そうした不安を解消するために、内窓リフォームで考えられるデメリットと、あわせて得られるメリットを具体的に比較・解説します。後悔しないためのポイントや費用相場、2025年に活用できる補助金制度まで、気になる情報を、網羅してまとめました。
そもそも内窓(二重窓)とは?
「内窓」や「二重窓」という言葉は聞いたことがあるかもしれませんが、実際にどのようなものなのか、詳しく知らない方もいるはずです。内窓リフォームのメリットやデメリットを知る前に、まずはその基本的な仕組みと、よく混同されるペアガラス(複層ガラス)との違いについて解説します。
内窓の構造

内窓とは、窓の内側にもう一つ、新しい窓を設置するリフォーム方法です。二重窓とも呼ばれます。
設置方法はシンプルで、既存の窓枠の室内側に専用の樹脂製フレームを取り付け、そこに新しい窓をはめ込むだけ。壁の解体などは一切不要で、比較的短時間で設置が完了します。
よくある勘違い!ペアガラス(複層ガラス)との違い

内窓とペアガラス(複層ガラス)は混同されがちですが、根本的に異なります。ペアガラスが「ガラス自体」を2枚重ねにした製品であるのに対し、内窓は既存の窓の内側へ「もう一つの窓をまるごと」追加するリフォーム方法です。
ペアガラスの空気層が数ミリ程度なのに対し、内窓は数センチの厚い空気層を確保できるのが特徴。この「空気層の厚さ」こそが、後ほど解説する断熱性や防音性といったメリットに直結します。
内窓を設置するデメリットと対策

快適な住まいづくりに役立つ内窓ですが、いくつか知っておきたい点もあります。内窓設置で考えられるデメリットと、その対策を具体的に見ていきましょう。
開閉や換気が手間になる
内窓が追加された分、窓の開け閉めが2回必要になります。頻繁に換気をするキッチンや、洗濯物の出入りで開閉が多い掃き出し窓などは、面倒に感じるかもしれません。
【対策】
これは、得られる快適性(断熱性や防音性)とのトレードオフになります。まずは、「開閉の頻度は低いが、寒さや騒音が気になる窓」(例:寝室、北側の窓)から優先的に設置するのがおすすめです。掃き出し窓など、開閉の多い場所への設置を迷う場合は、まずその1箇所に設置して、日々の手間と得られるメリットのバランスを体感してみるのも良いでしょう。
掃除の手間が2倍になる
窓が2枚になるため、ガラス掃除の手間が2倍になります。また、内窓と外窓の「間」の空間にもホコリが溜まることも。
【対策】
掃除するガラス面は確かに増えます。しかし、内窓の大きなメリットは結露を抑制できることです。これにより、これまで結露のたびに窓を拭いたり、カビ取りやパッキンの掃除をしたりしていた面倒な手入れが不要になるという、大きな利点があります。「ガラス拭き」の手間は増えますが、「結露処理」の手間が減るため、トータルで見れば「掃除がラクになった」と感じるケースも多いのです。
部屋が狭く感じる・窓際に物が置けなくなる
内窓は既存の窓枠の、室内側に新しいフレームを取り付けます。メーカーにもよりますが、一般的に5cm以上の奥行きが必要です。そのため、その分だけ窓が室内側に出っ張る形になり、圧迫感を覚える可能性があります。
また、これまでの窓枠(窓台)に小物を置いていた場合、設置スペースがなくなるのもデメリットです。
【対策】
圧迫感を軽減するためには、内窓のフレームの色選びが重要です。壁紙の色に近いホワイト系を選べば空間に溶け込み、床の色に合わせた木目調などを選べば空間に馴染みやすくなります。窓際に小物を置いていたスペースがなくなる点については、リフォーム後の配置を事前にシミュレーションしておく必要があります。これはリフォームに伴うデメリットとして受け入れ、他の場所に移動する、別に飾り棚を設けるなどの代替案を検討しましょう。
カーテンやブラインドと干渉する場合がある
現在お使いのカーテンレールやブラインドの位置によっては、新しく設置する内窓と干渉してしまうケースがあります。
例えば、カーテンレールが窓枠の内側に取り付けられている場合や、窓枠のすぐ上にあって壁との間に余裕がない場合は、内窓のフレームと干渉してしまうことがあります。
【対策】
この場合、カーテンレールを、内窓よりもさらに室内側へ付け直す追加工事が必要になります。ブラインドやロールスクリーンを窓枠内に設置している場合も同様で、内窓の枠内に設置し直すか、室内側へ移設するなどの対応が求められます。いずれも追加の費用や手間が発生するため、事前の現地調査で必ず確認してもらうようにしましょう。
設置できない窓の種類もある
内窓はオーダーメイドが基本で、多くの窓に対応できますが、一部設置が難しいケースもあります。例えば、歪みが大きい窓、円窓や特殊な形状の窓は、取り付けが困難な場合があります。
また、内窓のフレームを取り付けるための「奥行き(窓枠の平らな部分)」が不足している窓も、そのままでは設置できません。
【対策】
既存の窓枠の奥行きが足りない場合、「ふかし枠」というオプション部材を使って、壁から窓枠を延長させることで設置が可能になるケースも。ただし、その分費用が追加でかかり、室内への出っ張りも大きくなります。窓の歪みが大きい場合や、円窓などの特殊な形状の場合は、設置が困難か、別途工事が必要になるため、プロによる現地調査が不可欠です。
デメリットを上回る!内窓リフォームがもたらすメリットとは
ここまでいくつか知っておきたい点(デメリット)をお伝えしましたが、内窓リフォームは、それらを補って余りあるほど多くのメリットがあります。では、具体的なメリットを見ていきましょう。
高い断熱効果を発揮


内窓の設置により生まれた空気層のおかげで、断熱性が向上します。その結果、外気の影響を受けにくくなり、冬場に窓辺から感じる冷気が和らぐだけでなく、暖房で暖められた室内の空気も外へ逃がしにくくなるのです。もちろん、この効果は夏場も同様で、外からの厳しい日差しや熱気が室内に伝わるのを防ぎます。
省エネ・節電効果

断熱性が高まれば、冷暖房効率も良くなります。その結果、エアコンの設定温度を過度に上げ下げしなくても快適に過ごせるようになり、年間の電気代の節約につながります。
例えば、LIXILのシミュレーション(※)によると、東京にある一般的な木造一戸建て住宅で、すべての窓に内窓を設置した場合、1ヵ月の冷暖房費が約1,670円、年間に換算すると約2万円もお得になるという試算も。体感の快適さに加えて、家計にもやさしいのが内窓の魅力です。
気になる騒音をシャットアウトする防音効果
外からの音は、主に窓ガラスを振動させて室内に入ってきますが、内窓を設置すれば、外窓との間に生まれる空気層が音の伝わりを弱めてくれます。

LIXILのデータによると、例えば「交通量の多い交差点」レベルの騒音(80dB)が、インプラス(LIXILの内窓)を設置することで、約半分の40dB(図書館の中と同じくらいの静かさ)にまで低減されるそうです。
また、室内で演奏するピアノの音や、小さなお子様の声、ペットの鳴き声などが外に漏れるのを抑える効果もあります。
結露を抑制

出典:LIXIL|インプラス(内窓)の特長 – 結露軽減をプラス
冬場の悩みの種である「結露」は、部屋の暖かく湿った空気が、外の寒さで冷たくなった窓ガラスに触れることで発生します。内窓を取り付けると、既存の窓との間に生まれる空気の層がクッションの役割を果たし、室内側の窓が冷えにくくなるため、結露ができにくくなるのです。
窓の結露を拭く手間が減るだけでなく、結露が原因となるカビやダニの発生も抑えられるため、より衛生的で健康的な暮らしにつながります。
目隠し効果

たとえ既存の窓が透明なガラスであっても、新設する内窓のガラスを「すりガラス(くもりガラス)」や「型板ガラス(凹凸のあるガラス)」に変更することで、プライバシーを守る目隠しの役割を手軽にプラスできます。
例えば、道路に面した1階の部屋や、隣家と窓が近い浴室・脱衣所など、視線が気になる場所にぴったり。カーテンを閉め切ってしまうと部屋が薄暗くなりますが、これらのガラスなら、光は採り入れつつ視線だけを遮ります。
防犯性が向上

これは付加的な効果ですが、防犯性の向上も期待できます。侵入犯の多くは窓ガラスを割って侵入しますが、内窓がある場合は2枚のガラスを破らなければならず、時間も手間もかかります。侵入に時間がかかるほど、犯人は人に見つかるリスクが高まるため、結果として侵入をあきらめさせる(ためらわせる)効果が期待できます。
内窓リフォームで失敗・後悔しないための3ステップ

内窓リフォームで後悔せず、そのメリットを活かすためには、これからご紹介する3つのステップが重要です。
ステップ1:目的を明確にする
まず、「なぜ内窓を設置したいのか」という目的をはっきりさせることから始めましょう。
例:
・冬の寒さが辛く、暖房費もかさむ⇒断熱性能を高めたい
・家の前の交通音が気になって眠れない⇒防音性能を高めたい
・結露がひどく、毎日の拭き掃除とカビ対策が大変⇒結露対策をしたい
・西日が強くて、夏はエアコンが効かない⇒遮熱性能を高めたい
このように、目的を整理すれば「どの部屋に内窓を設置すべきか(ステップ2)」、「どんなガラスを選ぶべきか(ステップ3)」という、次にやるべきことが明確になります。
ステップ2:設置する部屋や窓を選ぶ
家中すべての窓に内窓を取り付けられれば理想的ですが、当然ながらその分コストもかかります。そこで、予算とのバランスを考えながら設置の優先順位を決めるのがおすすめです。
優先度【高】: 家族が長く過ごすリビング、寒さや騒音が気になる寝室
優先度【中】: 結露やヒートショックが心配な浴室・脱衣所、北側の冷えやすい部屋
優先度【低】: 使用頻度の低い廊下
まずは、特にお悩みの大きい部屋から設置してみるのがおすすめです。効果を確かめた上で、少しずつほかの部屋にも設置していくと良いでしょう。
ステップ3: 目的に合ったガラスの種類を選ぶ
内窓の性能は、主に「サッシ」と「ガラス」の組み合わせで決まります。サッシは熱を伝えにくい樹脂製を選ぶのが一般的ですが、特に重要なのがガラス選びです。ガラスにはいくつかの種類があり、ステップ1で整理した目的によって最適なタイプが変わります。以下の表を参考に、重視したい性能に合ったガラスを選びましょう。
| ガラスの種類 | 特徴・効果 | おすすめの用途 |
| 単板ガラス(1枚ガラス) | 最も手軽でコストを抑えやすい。ある程度の防音・断熱・結露抑制効果はあるが、性能は限定的 | 費用を抑えたい場合や、一時的な対策に |
| 複層ガラス(ペアガラス) | 現在のスタンダードな仕様。2枚のガラスの間に空気層を設けることで、高い断熱・結露防止効果を発揮 | 快適性とコストのバランスを取りたい場合に |
| Low-E複層ガラス(高機能ガラス) | 表面に特殊な金属膜(Low-E膜)をコーティング。断熱・遮熱性能が高い | 断熱タイプ:室内の熱を逃がさず、冬の寒さ・結露対策に最適 遮熱タイプ:日射をカットし、夏の暑さや西日対策に効果的 |
| 防音ガラス(合わせガラス) | 2枚のガラスの間に音を吸収する特殊な中間膜を挟み、優れた遮音効果を発揮 | 騒音を感じやすい立地(交通量の多い道路沿いなど)におすすめ |
どのガラスが最適か、費用と性能のバランスをどう取るかは、専門家であるリフォーム会社と相談しながら決めると良いでしょう。
内窓リフォームの費用相場と工期

内窓リフォームには、どれくらいの費用と工期が必要なのでしょうか。
窓のサイズ・種類別の費用目安
内窓リフォームの費用は、窓のサイズと、ガラスの種類によって異なります。また、既存の窓枠の奥行きが足りない場合や、カーテンレールが干渉する場合など、状況に応じて追加費用が必要になることもあるため、詳しくは現地調査をしてもらい、見積もりを作成してもらいましょう。
| 窓の種類 | 費用目安 |
| 小窓(浴室・トイレなど) | 4万~6万円 |
| 腰窓(寝室・子ども部屋など) | 5万~7万円 |
| 掃き出し窓(リビングなど) | 12万円~ |
※複層ガラスの場合
工事にかかる時間と施工の流れ
窓のリフォームと聞くと大掛かりな工事に思えるかもしれませんが、内窓リフォームは1窓あたり約1時間で完了します。壁を壊したり、足場を組んだりする必要がないため、騒音やホコリも最小限で済み、住みながらのリフォームが可能です。
【施工当日の大まかな流れ】
1.養生
搬入経路や作業場所の床・壁が傷つかないよう、シートなどで保護します。
2.既存窓枠の清掃
取り付ける窓枠のサッシなどを清掃します。
3.内窓フレームの取り付け
既存の窓枠(木枠部分)に、新しい内窓の樹脂フレームをネジで固定します。
4.窓(障子)の設置
フレームに、ガラスが入った窓(障子)をはめ込みます。
5.調整・確認
窓の開閉がスムーズか、鍵がしっかりかかるかなど、動作確認と微調整を行います。
6.清掃・完了
周辺を清掃し、養生を撤去して完了です。
2025年に使える内窓リフォームの補助金制度

内窓リフォームには、国の補助金制度が利用できる可能性があります。費用にかかる負担を抑えながらリフォームできるチャンスですので、活用を検討してみましょう。
ただし、本記事の公開時点(2025年11月末)では、ここでご紹介する主要な制度の交付申請の予約受付はすでに終了しています。2026年以降も後継の制度が実施される可能性があるため、2025年度の概要を参考情報としてご紹介します。
先進的窓リノベ2025事業
「先進的窓リノベ2025事業」は、窓の断熱改修に特化した補助金制度です。補助上限は1戸あたり200万円と非常に大きいのが特徴ですが、補助対象となる窓の性能やサイズには細かい規定があります。
▼詳しい要件はこちら
先進的窓リノベ2025事業
子育てグリーン住宅支援事業
内窓リフォーム(開口部の断熱改修)は、この制度の補助対象工事の一つです。これと合わせて「躯体の断熱改修」や「エコ住宅設備の設置」など、複数の必須工事を行う場合、リフォーム内容に応じて1戸当たり最大40万~60万円の補助上限額が設定されています(※内窓リフォーム単体では補助額が5万円に満たず、申請できない場合もあるため注意が必要です)。
▼詳しい要件はこちら
子育てグリーン住宅支援事業
北九州市や中間市で内窓リフォームをするなら有限会社カネタケへ

内窓リフォームにはいくつか知っておきたい注意点もありますが、それらを理解し、ご自宅の状況と目的に合った製品を選べば、デメリットを上回る快適さが得られます。
北九州市や中間市で、内窓リフォームをご検討中の方は、ぜひカネタケにご相談ください。お客様のお悩みやご自宅の状況を丁寧にヒアリングし、この記事で解説した「目的に合ったガラス選び」や、複雑な「補助金制度の活用」まで含めて、ご家族にとって最適なリフォームプランをご提案いたします。
※情報は2025年10月末時点のものです。最新情報は各公式サイトでご確認ください。
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【住宅リフォームや改修という仕事は「家族の幸せ」をつくる仕事だと考えています】
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